脳梗塞は時間との闘いです。
脳梗塞コラム
第3回 脳ドックで見つかる「隠れ脳梗塞」とはなに?
[2008.07.02.]
40代で3人に1人、50代で2人に1人が見つかる「隠れ脳梗塞」

脳ドックのMRI検査(核磁気共鳴画像検査)で「『隠れ脳梗塞』が見つかりました」と告げられ、驚かれる方が少なくありません。「隠れ脳梗塞」とはきわめて微小な脳梗塞のことです。
「医学の専門用語ではまったく症状が認められない『無症候性脳梗塞』や、一時的に眼が霞んだりポロッと箸を落としたりするなどの軽い症状が見られる『一過性脳虚血発作』のことをさしています」こう語るのは、「隠れ脳梗塞」の名付け親である眞田クリニックの眞田祥一院長です。
意外なのは「隠れ脳梗塞」が少なくないこと。MRI検査を受けた患者のうち、40代では3人に1人、50代では2人に1人、60代では8割以上に「隠れ脳梗塞」が発見されます。生活習慣の改善などで脳梗塞の予防に努めないと、「5年以内におよそ3割の人が大きな発作に襲われる」と警告されているので軽く見ることはできません。
微小脳梗塞が出現し、その数が次第に増え本格的な脳梗塞へ
脳梗塞はある日、突然、意識を失って倒れることが多いので、予告なしに襲われる病気のように思われがちですが、決してそうではありません。
「高血圧や動脈硬化などの進行で徐々に脳の血管が狭くなり、まず数mm程度の微小な『隠れ脳梗塞』がいくつか出現します。そのうちに梗塞の数が増え脳のあちらこちらに見られるようになり、ついには本格的な脳梗塞へと発展していくのです」
いわば「隠れ脳梗塞」は水田の水路に小石がたまったり、草が生えたりして水の流れが悪くなっている状態です。わずかながらも水が供給されていますから、稲は弱々しく育ちます。しかし、放っておけば水の流れは完全に遮られ、水田が干上がって稲を立ち枯れさせてしまいます。「隠れ脳梗塞」もそれと同じように、放置しておくと脳細胞の死滅を招き障害に苦しむことになってしまうのです。
軽くみると一生、後悔することになりかねない「隠れ脳梗塞」
「隠れ脳梗塞」のうち症状の現れない「無症候性脳梗塞」ほど、厄介なものはありません。
「もともと大きな予備能力を有する脳は、多少の神経細胞が死滅しても、その機能に障害が現れることは少ないからです」
自覚できる症状が現れないので、気づかないうちに本格的な脳梗塞を着々と準備していくのです。
一方、「めまいがしてまっすぐに歩けない」「ろれつが回らない」「片側の手足が痺れる」などの症状に突然襲われたものの、数分から20分程度で症状が消失する「隠れ脳梗塞」が「一過性脳虚血発作」です。
「発作後、短時間で脳血流が回復するため、MRIなどの画像検査に初めは異常な所見は認められません。『単なる疲れではないか』と軽く考えているうちに本格的な脳梗塞を起こしてしまうのです」
実際、アメリカのデータによると一過性脳虚血発作の2〜3年後、15〜30%の人が脳梗塞を発症させているのです。
では、「隠れ脳梗塞」の有無を確かめる方法はないのでしょうか。いや、あるのです。神経学的検査法に基づいた眞田院長考案の独自のテストによって、「隠れ脳梗塞」の有無が簡単に確かめられます。
挑戦してみよう! 隠れ脳梗塞を発見するためのテスト
【両手突き出しテスト】
大脳の前頭葉や錐体路の「隠れ脳梗塞」の有無が発見できます。前頭葉には考え・話し・行動するための中枢が存在し、錐体路は脳から身体各所の筋肉に指令を伝える伝達路です。

気楽に試みてください! 遊び感覚でできるテスト
【目隠し足踏みテスト】
小脳や頸髄の「隠れ脳梗塞」が発見できます。小脳は手足の複雑で敏速な動きをスムーズに行わせる働きがあり、頸髄は脳と身体を結ぶ連絡路です。

本格的な脳梗塞への進行を予防するには生活習慣の改善が第一
テストで「隠れ脳梗塞」が疑われたら、一度は脳神経外科や神経内科の医師に受診し相談するとよいでしょう。MRI検査などで「隠れ脳梗塞」の有無やその数、広がりなどを確かめておくことが大切だと思います。
「隠れ脳梗塞」が発見されたら、なによりも生活習慣を改善することが求められます。ウォーキングや軽いジョキング、散歩などの有酸素運動を1日の生活に組みこむと同時に、動物性脂肪よりも青背の魚や野菜などを積極的に摂り、塩分控えめの食生活を送るようにしてください。

「とくに旬の食べ物はおいしいだけでなく、栄養もたっぷり含まれているのでお勧めです」
生活習慣の改善によって「隠れ脳梗塞」の予防や、「隠れ脳梗塞」から本格的な脳梗塞への進行が抑えられます。さぁ、今日から始めてみませんか。
- 参考資料
- 1) 『「隠れ脳梗塞」の見つけ方・治し方』 (眞田祥一著、講談社、2005年3月刊行)
『自分で見つけて治す隠れ脳梗塞』(眞田祥一著、マキノ出版、2003年4月刊行) - 2) 『脳梗塞』(岡安裕之/黒田栄史監修、双葉社、2004年7月刊行)
- 3) 「季節によるほうれんそうの栄養成分の変動」(女子栄養大学辻村卓教授)




