• FASTとは
  • F
  • A
  • S
  • T
  • FAST

NO!梗塞net コラム

からだの中の災害、脳梗塞から身を守ろう!

[2015.12.25.]

脳梗塞のような突然発症する病気は、予防のしようがないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、病気の知識をもち、いざというときに患者さんやご家族が最善の行動をとることで、救われる命があり、また、後遺症も少なく済むことができます。そのためには、いち早く脳梗塞に気づくことが求められます。脳梗塞を「からだの中の災害」といい、自然災害に備えるように、脳梗塞も備えが必要であると提唱する高知医療センター脳神経外科 科長の太田剛史先生に、一秒でも早く脳梗塞に気づき対処するコツをお聞きしました。

脳梗塞は突然やってくる「災害」と同じ

地震や台風などによる災害は、予期せぬときにやってきて、逃げ遅れると命にかかわります。突然起こる脳梗塞も、「からだの中の災害」といえます。

つまり、脳梗塞への対処法も、「災害対策」と同じで、「今、からだに重大なことが起こっていますよ。早く病院へ避難!」と危険を知らせるサインを見逃さないことが重要です。そのためにもサインを知り、すぐに気づき、正しい対応ができるようにしておきましょう。もしも発症したら、1秒でも早く治療を受けることが、脳梗塞から身を守る近道です。
災害に備え、避難訓練をするように、普段から準備をして、もしものときを想定した話し合いを家族でしておくことも大切です。

脳梗塞発見! 3つのポイント 危険なサイン

1.「FAST(顔、手、口、時間)」脳梗塞発見の合言葉!
まず脳梗塞のサインとして気をつけたいのは、「顔」「手」「口(言葉)」の症状です。この3つは典型的な脳梗塞の症状ですから、最低限これらを覚えておき、見逃さないようにしてください。



「顔」「手」「口(言葉)」のうち、1つでも症状がみられたら、「時間(TIME)」を確認して、1秒でも早く救急車を呼び、脳梗塞の治療ができる病院にかかりましょう。

また、上記のような症状が現れても、数分以内に消えてしまうことがあります。その場合見過ごしてしまいがちですが、「一過性脳虚血発作(TIA)」という、脳梗塞の前触れ症状の場合がありますから、受診が必要です。

2.理由がないのに、「普段と違う」症状があるときは要注意!
「顔」「手」「口」に現れたごく軽い症状でも、「実は脳梗塞だった」ということが多いものです。病院受診を迷ったときは、「理由がないのに、普段と違う症状があるかどうか」で判断しましょう。たとえば、「足をぶつけたわけでもないのに、足を引きずっている」というときは、脳梗塞(脳卒中)の危険が高いといえます。ご家族が、「お父さん、お酒も飲んでいないのにろれつが回っていない」と気づいて受診したところ脳梗塞だった、というケースもあります。

また、「急に片目が何分間か見えなくなったが、その後おさまった」というときも、脳梗塞が疑われます。いつも接しているご家族や周囲の方の様子が、「普段と違う」と感じる場合は要注意です。

また、判断が難しい症状に「めまい」がありますが、10〜20人に1人は脳梗塞の可能性があります。以前にもめまいの経験があり、その原因がわかっている場合は別として、初めて理由もなくめまいが続く場合は、脳梗塞を想定して対処しましょう。

3.「喫煙習慣」や「高血圧」は、「軟弱地盤」と同じ
自然災害でも地盤が弱い場所では、崖崩れなどの災害が起こりやすくなります。喫煙習慣や高血圧、糖尿病などがある方は、「からだの地盤」が弱いと考えることができ、災害=脳梗塞が起こりやすいといえます。これらに心当たりがある方は、「脳梗塞発症のリスクが高い」と意識してください。

救急隊員に、病状を的確に伝える


脳梗塞が疑われたら、適切な病院に搬送してもらうことも大事なポイントです。「質のよい搬送」は、患者さんやご家族の対応で決まるといっても過言ではありません。

救急隊員に病状を的確に伝えるためには、次のようなキーワードが重要です。
「突然、手足が動きにくくなりました」
このような言葉を聞いたならば、すぐに「脳卒中」だと気づき、脳卒中を専門的に治療できる病院に運んでくれるはずです。

また、「嘔吐している」「失禁している」など患者さんの状態を具体的に伝えることで、救急隊員は「重症度」が判断でき、搬送先の病院を選びやすくなります。

「いつもと様子が違うんです」「体がだるそうです」といった漠然とした伝え方では、救急隊員の判断を遅らせることになり、場合によっては、脳卒中の救急対応をしていない病院に搬送されてしまうこともあります。

このほか、救急隊に伝えるべきことは、以下のような点です。



脳梗塞(脳卒中)は「マイナスの宝くじ」

脳梗塞は、滅多に当たらないけれども、当たったときは、大きな損になる「マイナスの宝くじ」といえます。ですから、症状が軽くても、「脳梗塞かな?」と思ったならば、その段階で病院にかかることが、大損しないためのコツです。ハズレたら、「それはラッキー」なのですから。前述のように「理由がないのに、普段と違う症状が起こった」「明らかにここがおかしいといえる症状が起こった」ときには、すぐに救急車を呼びましょう。

脳卒中の専門的治療ができる病院:「血栓溶解療法」及び「血管内治療」を行っている脳卒中センターや、脳神経外科など。日本脳神経血管内治療学会のホームページには、血管内治療の研修施設の一覧が掲載されています。http://www.jsnet.umin.jp/


(取材協力/高知医療センター 脳神経外科 科長 太田剛史先生)



コラムの目次へ